現地隊員レポート 「りる」第49号より
イエメン S.A.
平成20年度3次隊
青少年活動
『イエメン便り』
『イエメン便り』
はじめまして!私は平成20年度3次隊で1月からイエメン共和国に青少年活動隊員として派遣されましたS.A.と言います。これからイエメンのこと、活動のこと等、少しずつ紹介していけたらと思っています。どうぞ宜しくお願い致します。一時、内戦で派遣が滞っていたイエメン。2005年7月に派遣が再開され、現在は12人の先輩隊員の方々が活動中で、加えて私達6人が新しく派遣となりました。1月5日に日本を経って、早約2ヶ月。最初の1か月は首都サナアにある世界遺産オールドサナアに住み、その中にある語学学校に通っていました。そして・・・2月10日に任地であるタイズという街に移り、まさに活動を開始したところです。
世界遺産オールドサナア「about YEMEN」
ところで皆さんは、「イエメン」という国の名前を聞いたことがありますか?先日、アジアカップで日本vsイエメンのサッカーの試合が行われましたが、日本では馴染みの少ない国かと思います。イエメン共和国とは中東・アラビア半島にあり、位置としてはサウジアラビアの南、オマーンの左隣にある国です。人口は2,229万人(2007年/IMF)、面積は527,968km2(日本の1.5倍)、主要言語はアラビア語。
日本との時差は6時間。私達も大好きなモカコーヒーの産地でもある国です!!
イエメンでもサッカーは大人気!
(1)敬虔なイスラム教徒の多い国
イエメンは敬虚なイスラム教徒が多い国です。女性は真っ黒なアバヤという民族衣装を着用し、ヒジャーブで髪、頭を隠し、ブルカで顔さえも隠します。家族以外の男性には素顔を見せない。よって、外で食事をする時は家族用、女性用の空間が用意されている場合が多く、そこで女性達は食事をしています。結婚式も男性と女性は別。女性達の写真を撮ることもタブーです。
そして、イエメンでは移動をする際はダッバーブという乗合バス(1回乗車で基本的には20YR=約10円)をよく利用するのですが、その中でも見知らぬ女性と男性が隣合わせに座ることは絶対にありません。日本人の私からしたら「ちょっとくらいいいんじゃないか?」と思ってしまうのですが、彼らの徹底ぶりはかなりのもの。男性が女性に声をかけることすらありません。でも、それは虐げられている訳でも何でもなく、彼らの慣習なのです。彼らにとっては、その方が当たり前なのです。日々、発見がある中で、異文化に触れるのは本当に興味深いことだなあと感じながら生活しています。
そんな、私達イエメン女性隊員もアバヤにヒジャーブを着用して、日々活動しています。最初は身を守るため(目立たないようにする為)、よりイエメンに近付く為に着用していましたが、最近では「着用しないで、外に出るなんて!」という気持ちが少しずつ芽生え始めました。イエメン人に少し近付いてきたのでしょうか?
イエメンの女性また彼らは1日に5回お祈りをしています。街中の至る所にはモスクがあり、私が現在住み、活動している青少年文化センターの向かい側もモスクです。季節等によって異なりますが、今は1回目のお祈りの時間が午前4時半〜5時の間くらいにあり、その時間になると街中に時間を知らせるアザーンというものが大音量で鳴り響きます。そして、多くの男性達はモスクに足を運ぶのです(女性は家でお祈りすることが多いようです)。
モスク(ミナレット)
(2)生活事情
1.通貨
イエメンの通貨「イエメンリアル(YR)」というものです。先程も述べましたが、イエメンリアルはちょうど日本円の約2倍。ダッバーブに乗ると20YR=約10円。750mlの水のペットボトル50YR=25円、イエメン人には欠かせないシャーイ(紅茶)は一杯30YR〜50YR=15円〜25円等々、物価はそれ程高くはありません(勿論、これは日本から移り住んだ私の感覚ではありますが・・・)。
お金の種類としては1000、500、200、100、50YR札と20、10、5YR硬貨があり、ぼろぼろのお札やメモ帳のように何か書かれたお札がお釣りで来ることもしばしば!?硬貨はダッバーブに乗る時の必需品です。2.食事
主食はご飯も一応ありますが、基本的にはホブズ(パン)が中心です。日本のような調理パン、菓子パン的なものはあまりなく食事の際はプレーンなものにカレー的なものやひき肉を妙めた様なもの、いり卵的なもの等をつけて手で食べる(ナンのようなものや小さなフランスパンのようなもの等、よく食べるものが何種類かあります)。
スパイスをよく使用していますが、そんなに辛いものはありません。また、食事はテーブルを使わず、地べたに座って、家族みんなで食べます。よく使う食材としては、トマト、ジャガイモ、ねぎ(生でそのまま食べます!!)、チキンです。果物もオレンジ、りんご、ぶどう等、日本に近い食材が手に入り、お魚も日本より、種類は少ないですが、一応手に入ります。ただ、イスラム教国故、豚肉、アルコールは残念ながら手に入りません・・・。
その代わりに街の至る所にある食堂ではミキサーで作ったフレッシュジュースやシャーイがどこでもあり、人々はよく飲んでいます。私は中でもレモンジュースが大好きです!3.生活スタイル
イスラム教国であるイエメンは木曜日と金曜日が基本的にはお休みです。特にイスラム教徒にとって金曜日はとても大切な日で、お昼のお祈りの時間には正装をした男性達がこぞってモスクに集まります。そして、お昼の時間帯は多くのお店が閉まります。多くの人はお昼ご飯を家に帰って食べています。
私の活動時間も8時から13時までと16時から19時まででお昼は自宅で過ごします。私の場合は自宅(ホームステイ先、上司宅)と職場のオフィスが上階(3階)と下階(2階)なので移動が楽ですが、仕事が二部制になっていて、職場から自宅が遠い人は大変じゃないのかと少し疑問です。イエメンタイム(時間にゆっくりしている)なので、人々はそこまで深く考えていないのかも知れませんが・・・。
民族衣装を着た男の子さて、今回は僅かばかりですが、私の派遣国イエメン共和国について紹介させて頂きました。イエメンでの生活も活動もまだまだ始まったばかり。これから沢山の発見と経験が私を待っていることと思います。この続きはまた次の機会に・・・。それまで皆様もお体にお気をつけて。