私のタンザニア生活 「りる」第22号より
タンザニア T.M.
平成11年度1次隊
理数科教師
1.マラリアがもたらした幸運
忘れもしない1999年9月2日の日のことです。ちょうど現地語学訓練(スワヒリ語)を終えて、任地のタボラに赴任して一週間ほど経過した時、激しい下痢とおう吐を繰り返したのです。とりあえずダルエスサラームの医療調整員へ報告。夕方の五時頃だった頃です。医療調整員からは、「食中毒の疑いがあるから安静を。」と言うことでした。
すると、その日の夜九時頃、同任地隊員から無線の連絡があったのです。彼のカウンターパートがマラリアの疑いがあるので病院へ連れて行ってくれるとのこと。そして、夜分に病院へ。結果は、赤血球二百の内、六のマラリア原虫で陽性。すぐさま彼の家へ戻り、点滴と注射。自分では、それ程実感がなかったのです。何故ならば微熱程度の熱しかなかったのですから。
すると、夜九時頃、ものすごい悪寒に襲われたのです。体中が熱くなり、全身の震えが止まりません。自分でも何故震えているのか、何が起こっているのか不思議な感じだったのです。どうやら、その日の晩がマラリア症状の始めだったようです。私は幸運にも症状が軽いうちに治療を始めることができたのです。やはり、タンザニア人は、その辺のことを経験で学んでいるのでしょう。
そして、それから一週間程、彼の家族が看病をしてくれたのです。何でも彼は、親身になって心配してくれたらしく、夜中にも時々起きて、様子を見てくれていたとか。
彼とその家族のおかげで、すっかり良くなった日のこと、彼は「ここをタンザニアの家族だと思って過ごしなさい。」とまで言ってくれたのです。住居は、別にあるので、ほとんど毎日のように彼の家へ通っています。その度に彼とその家族は笑顔で迎えてくれます。
幸か不幸かマラリアのおかげで私は、すばらしい家族とめぐり会えたのです。そんなこんなで、ちょっとした事情があり、現在、ここ任地のタボラで、日本人一人で暮らしていますが、特に寂しいと感じることはありません。同僚教師と
2.NGOとJOCV
私は、ここタンザニアのタボラにあるミランホセカンダリースクールで理数科教師として、活動しております。私が担当しているのは、アドバンスレベルの数学をニクラスです。私の場合、特に教師経験もなく、その上、タンザニアの教育カリキュラムは、日本で自分が習ったものと著しく異なるために、授業準備には、苦労しています。
更にタンザニア人は記憶することにおいては、すばらしい能力があるのですが、考えることや応用することは大の苦手とあって、いつも鋭いと言うか的はずれの質問ばかりで私のたどたどしい英語で苦労しています。
さすがに、赴任四ヶ月を過ぎた今では、ある程度慣れてきたそんな折に新たな活動が始まったのです。
私の前々任者が、先日ここダボラの身障者施設を援助するNGOを創設したのです。内容は、日本で集めた古着をここタボラヘ送って、こちらで売却してそのお金を寄付するというものです。
日本から送られてくる古着を見ているとやっぱり日本はぜい沢だと思われます。その中には、新品のスーツや浴衣を初め多くの良質な服が入っています。自分が欲しいものがいくつかあったりする程です。そして、私の新たな活動は、そんな小さなマーケッティングからスタートしています。
但し、問題は、タンザニアの物価です。こちらでは、いくら良い服でも日本円に換算するとタダ同然でしか売れません。どうしても日本からの輸送料の方が高くついてしまうのです。そのため現在いろいろと試行錯誤中です。現在、それにつけ加えて、タンザニア人のウーマンパワーの値切り交渉にあい、大変忙しい、いや大変充実した日々を過ごしております。
その他にも、前職がシステムエンジニアと言うこともあり、金持ちのタンザニア人のコンピュータの修理と、大変需要の多い存在になりつつあります。来年からは、学校側がコンピュータの授業を導入するらしく、そちらも担当することになりそうです。タンザニアでは、コンピュータを扱える人が、当然ながら極限られているのです。
こんな感じで、ボランティアのNGOとODA、そしてその他いろいろと活動し、日本人は、任地で一人と言うことも相重なって多くの知人がいます。弁護士、軍隊のカーネルから近所の子供達まで。だんだんと住み易い環境になってきています。3.二日間の観光
ここタンザニアは、アフリカでも一、二位を争う程、見所があると思います。セレンゲティやンゴロンゴロを初めとする多くのサファリ、アフリカ一高いキリマンジャロ、アフリカ三大湖のビクトリア湖、マラウイ湖・神秘のタンガニーカ湖。そして、リゾートアイランドザンジバル島と多くの観光地があります。ちなみにセレンゲティは人類発祥の地とされているようです。
そんな中、先日、セレンゲティヘサファリヘ行った時のことです。日中は、ライオン、チーター、ヒョウなどの多くの動物に出会い、感動の連続です。夜はサファリのど真ん中でテントを張ってキャンプ。すると深夜になって現れたのは、体長ニメートル程のメスライオン。自分の立っている場所から十五メートルの所です。当然こちらは無防備、こちらに気づいた彼女は、英国人のテントの方へ歩いて行ったのです。
大変幸運、いや危険な出来事でした。そうかと思えば、朝はインパラの群と食事。実際、動物を見た時間は半日もありませんが楽しい興奮の一時でした。
そんなこんなで始まった私の活動、これからもいろんな新鮮な出来事が起こりそうです。学校のスタッフルームにて