現地隊員レポート             「りる」第58号より 

                                                    セネガル   S.U.
                                                             平成22年度1次隊
                                         エイズ対策
    

 

『小さなプロジェクト開始』

  セネガルでの生活も残り4ケ月強となりました。セネガルの年中行事の全てがもう経験出来ないかと思うと、少し切なく思ってしまいます。一方で、協力隊員としての活動は忙しくなってきました。

 さて、私とセネガル人上司は、2011年12月4日から8日まで開催された、第16回アフリカ地域エイズ・性感染症国際会議 International Conference on AIDS and Sexually Transmitted Infections in Africa(ICASA)に参加してきました。ICASAは、アフリカで開催される主要なエイズ国際会議のひとつで、原則として2年に1度開催されています。エチオピアの首都アディス・アベバにて開催された本会議のテーマは、「取り組み、規模拡大、そして持続」でした。

連日、約20のホールでシンポジウムやセッション、ワークショップが開催されます。実際に会場に足を踏み入れてみると、温かな支援を地域で地道に続けている方や、もっと広く社会にアフリカのHIV/AIDSの現状を知ってもらうため啓発活動をされている方、医療や福祉の側面からプロフェッショナルな仕事を発揮されている方、様々な人が一同に介していました。

セネガルのHIV陽性率は0.7%とアフリカ諸国の中では低めの数値です。国家エイズ戦略も2011年でひとまずの区切りを迎えます。そのためか、エイズ対策という分野が下火になってきているのではないかと感じていました。しかしながら、今回、セネガルを外から見つめ、他国から様々なヒントをもらえた事は、残りの任期をさらに充実させてくれるきっかけとなりました。

セネガルは引き続き感染予防啓発に力を入れ続ける必要があること、そして平行して、陽性者の方々が安心して治療を受けられるように治療薬の無料提供体制とカウンセリングの実施を維持する必要があると思います。まさに本会議のテーマの”持続”の部分にあたる取り組みが必要になると思います。

HIV/AIDSを撲滅、排除するという姿勢ではなく、いかにHIVウイルスとセネガルで共存できるかという考えが必要かと感じました。残り任期、利用者が安心して来所出来るように、カウンセリングルームと検査室の整備に努めたいと思います。