現地隊員レポート             「りる」第52号より 

                                                    パラグアイ  N.M.
                                                             平成21年度3次隊
                                         保健師
    

 

『地球の裏側での出会い』

  香川県の皆様、お元気でしょうか?

 私は平成22年1月より青年海外協力隊としてパラグアイで生活しています。パラグアイというと、「どこ?ウルグアイ?」って聞かれることも多かったのですが、ブラジル、アルゼンチン、ボリビアに囲まれた内陸国です。ブラジルに日系移住者が多いことはご存知の方が多いのでしょうが、ここパラグアイでも日系移住の方が大勢生活されており、1936年から始まり今年で移住73周年になるそうです。

南米日系移住について今まで深く考えたこともなかったのですが、これまでの日系の方の努力から日本人への印象は良く、技術協力、経済協力、文化交流に貢献されていることを知りました。また、ここパラグアイにも県人会があることに驚きました。香川県人会も総会を開いたり、香川の文化を紹介したりしているそうです。

 そもそも、私が香川県人会を知ったのは、香川県庁表敬訪問の際に真鍋県知事から紹介していただき、国際課の方が連絡してくださったことに始まります。そして、先日、首都アスンシオンで香川県人会平井会長さん主催の激励・歓迎会を開いていただきました。

まさか、地球の裏側で讃岐弁を聞けるとは思っておらず、人との繋がりのすごさを実感し、人の温かさに触れました。ただ香川県出身というだけで、とても温かく迎えてくださいました。日系の方は、故郷の近況をとても楽しみにされており、移住された時のことを話してくださいました。今までたくさんの苦労があったことと思いますが、みなさん、とてもいきいき生活されており、私がパワーをいっぱいもらって帰りました。

 現在、私は首都からバスで南東に5〜6時間ほど行ったカアサパ県サン・ファン・ネポムセノ市地区病院の保健センターで働き始めて2週間が経過したところです。パラグアイでは今年から公的な病院で診療が一部無料化になったため、以前よりも患者数は増え、病院に出勤すると既に長い列ができ、診療を待つ人でいっぱいです。病院の数も少ないため、45Km歩いて来たという患者さんもいました。病院は赤字で予算はあるようですが足りず、病院職員が年に1、2回鶏肉を売ったりして診療のお金を集めている状態です。

 任地に来て思ったことは、首都と地域、また地域の中心部と田舎でも生活の格差や健康に対する意識にかなり差があることです。任地の病院の庭には鶏が走り、公園に牛がいます。とても、のんびりした町です。昨日、初めて地域の家庭訪問に同行させてもらったのですが、アスファルトは町の中心部のみで、少し歩くと赤土の道路や草原が広がります。

田舎の方は水道のない家がほとんどで、井戸水を使用していましたが整備されていないトイレの近くに井戸があったり、川の水はとても濁っているけれども、そこで子供たちが遊んでいたり、洗濯をしている状態です。川の中には豚や牛もいました。日本では田舎に行くほど川の水はきれいという印象ですが、パラグアイでは田舎に行っても水は濁っていて、川魚は食べたくないなあと思いながら・・・今日の夕食はホームステイ先の息子さんが川で釣ってきたという魚のスープでしたが。味は良かったのですがね。

 現在、まだまだ任地の生活や保健について情報を集めている段階で、語学力がまだまだの私は現地の同僚の協力のもと、語学も学びながら活動を進めている状態で会話が理解できずにもどかしい思いの時も多いです。同僚達はこんな状態でも、理解できるまで説明してくれ、やさしく接してくれます。とても温かい人が多いです。パラグアイでの出会いや日本でのこれまでの出会いを大切にして、ここで2年間自分なりに生活していきたいと思います。


写真はパラグアイ日系香川県人会のみなさんが日本料理レストランで歓迎・激励会を開いてくださった時に撮影した時のものです。