資料完成・視野拡大   「りる」第8号より

     ニカラグア        E.T.

                     平成4年3次隊

                     自動車整備

 

 私は現在中米のニカラグア共和国で活動しています。職種は、自動車整備です。もう、この国で暮らして二年が過ぎようとしています。

 私の配肩先は、技術庁直属の学校です。日本の工業高校に近いものがあります。国立で規模も大きく、生徒も約七百人ほどいます。クラスは、自動車整備、冷凍機器、電子、電気機器、家具職人コースなど多様性に富んでいます。

 着任当初、私の配属先は建設・運輸省直属の学校でした。着任前の情報では、協力隊員に求められるものは「やる気」だとのことで、そのつもりで着任したわけですが、私がニカラグアに着いた頃には一人の生徒も存在しませんでした。何故なら、私がニカラグアに住むようになった時は政権が交代していて、現政権は私の着任予定校の予算をカットしてしまい、学校は、ほとんど機能していませんでした。

 

それでも、当時の同僚からは、後、三ヶ月もすれば学校が始まると聞かされ、そのための準備などを彼らとしましたが、結局何も始まりませんでした。その間、同僚達のやる気のなさ、ただ待ちの姿勢に気づき、その後は、自分のしたいと思うことを学校内外でしましたが、思った程の成果を上げられず、去年の一月に職場を変更しました。現在の職場での私の位置づけは、アドバイザーとなっています。幸い私の職場には、国連からの援助があり、設備、道具など一応そろっています。

 

  T隊員とニカラグアの現地スタッフ

 


 現在の私の仕事は、燃料噴射装置に関する講習会を開くことです。そう思ったのも、私が精通している部分は、彼らもよく知っているような状態で、(近年ニカラグアは、新しい車が入ってくるようになってきています。)そんな理由で燃料噴射装置となったわけです。正直なところ、私にも人に教えられるような知識はあまりなく、日本から専門書を送ってもらい読むことから始めました。同僚と共に資料作成の日々が続きました。私の同僚は、幸いなことに視野の広い人で、私の意図をよく理解してくれ、非常に協力的です。

 私は、初代隊員です。協力活動の方向性を作り、それを後任隊員が継続していくことが効果的な協力隊活動ではないかと私は考えます。そんなわけで、どうしてもデスク・ワークが多くなり、他の同僚から「オマエは座ってばかりじゃあないか」とよく言われました。私が、いくらその重要性を説明しても判ってくれませんし、私は一人で仕事をしているわけでもありません。協力してくれる同僚もいる。そんな時は、結果ですべてのヤツらを納得させたろ!!と思いました。

 資料の準備は思ったように進まず、やっと最近になって終わりが見えてきました。そんな理由で延長することにしました。資料ができあがってくると、今まで資料のことばかり考えていましたが、やっと終わりが近づいて自分の活動における視野が広がったように思います。ですから、以前は、ただ講習会を実施すればいいと考えていましたが、現在は、その資料をもっと有効的に利用しようと考えています。そう思えるようになったのも、協力してくれた同僚のおかげで、いい資料が作れたと思うからです。資料は二冊の冊子です。

 この時期になって、自分の活動の方向性、目的、結果が自分の中で明確になりました。今は、できるだけ早く、自分の描いている物を行い、私の思ったような結果がでるのか見てみたい気分です。なにか、自分の活動期間が減って行くにしたがって、この国での生活、仕事が楽しくなってきています。

 私の活動の結果がどう出ようと私は受け入れるつもりです。最善をつくせばきっと自分の思っている様になると私は思います。何度も言いますが、乗るか反るか。残された時間に全力を傾け、私の結果を得るつもりです。