現地隊員レポート 「りる」第48号より
ニカラグア K.O.
平成20年度2次隊
小学校教諭
『ニカラグア便り』
私は、平成20年度2次隊の大西恵子(ニカラグア・小学校教諭)です。サンマルコスでの語学研修を終え、任地チナンデガに来て早1か月が経ちました。少しアクションを起こしてみたので、今回はその活動について書こうと思います。ここチナンデガは、ニカラグアの北西に位置し、ニカラグアの中でも特に暑いと言われているところです。なので、クリスマスと言っても、かなり暑いので、そんなムードはありません。
学校に行って驚いたことは、朝7時に始まる予定が時間どおりに始まらない、たまに先生も7時に来ていません。こどもたちも普通に遅刻をしてきます。学校の中にお菓子屋さんがある、1時間目から3時間目まで休憩なしに授業がある(30分休憩後、また4〜6時間目まで続く。)机が小さい。教科によっては、一人に一冊の教科書がない、電気がある時とない時がある。授業中、いろんな人が出入りする、先生の表情が怖い等、初めは目が点になることが多かったです。
授業風景そして、学校だけにかぎらず目についたのは、町、学校が汚いことです。ニカラグアの人たちは、大人もこどもも、食べたら平気で道にゴミを捨てています。町で会ったこどもに、「なぜ捨てるの?」と聞くと、「そのうちゴミを集める人がくるから。」と。学校でも聞いてみました。「ゴミを捨てるのは良いこと?悪いこと?」「どうずればいいのかな?」と。こどもは、ごみを捨てることは悪いことと知っていました。ただ、周りが普通に捨てていくので、自分もついといった感じでした。その後、そのこどもは、ちゃんとゴミ箱にゴミを捨てに行きました。そう、やればできるのです。
ゴミ箱づくり授業を見学しながら、私には何ができるんだろうと考えていました。今もそうですが・・・
算数も一緒に学んでいきますが、その前に、学校の環境や、学級経営も一緒に考え改善していく必要があるなと感じています。
ニカラグアは、前期後期の2期制なのですが、先日卒業式がありました。6年生とも仲良くなっていた私は、このまま見学だけでこの子たちと別れるのは寂しいな、日本についても伝えたいなと思い、卒業式の1週間前、思い切って、日本紹介・夢・ごみ箱づくりの授業を6年生にしました。
使うだろう単語や言い方を事前に調べ、担任の先生にも手伝ってもらい、ムービーメーカーで、日本の四季、行事、食べ物、伝統、東京や大阪、戦争、平和について説明しました。ニカラグアは四季がないので、雪のある景色に歓声があがったり、相撲をみて笑ったりしました。原爆の写真を見ていた時は、じっと写真をみつめていました。ニカラグアも、1990年まで内戦があり辛い過去があるのでした。
ムービーメーカーで説明その後、私の夢「みんなの夢が現実になるように手伝いがしたい!」を絵で表わし、みんなで、自分の夢を絵で描きました。この学校では、図工の時間がありません。だから、絵を描くことになれていないようでした。白い紙の隅の方に小さく描いたり、一色で仕上げたり。時々、用紙いっぱいに描いている子の絵を見せたりすると、「そうか、こう描いてもいいのか。」といった具合で、付け足して描き始めたりする子もいました。
そうして、できあがった絵を見てみると、医者、先生、弁護士、銀行員、農家、建築士、画家、SONYで働きたいという子もいました。この絵は、卒業式の時掲示して保護者の方にもみてもらいました。
自分の夢を絵に描く絵を書き終えたところで、私はまたムービーで何枚かの写真を見せました。そして、「これは何?」「君たちはゴミが好きなの?」と問いかけました。学校で落ちていたゴミの写真を見せたのでした。みんなの答えは、「ノー。」「卒業する前に、後輩たちのため、学校のため、何かできることはないかな?」と問いかけました。そして、みんなで、ポスター作りとゴミ箱づくりを始めました。
ポスターも、字は大きく太い方が見えやすい、わかりやすいということ、彼らは知りませんでした。思い思いにつくりながら、たまに、字が大きくはっきりしているのを皆に見せてみると、自分のと比べながら、いい所は取り入れていました。そして、できたごみ箱をニコニコしながら、校庭や教室に置き、今度は、実際にゴミを拾いに校庭に行きました。できたばっかりのゴミ箱にたくさんのゴミを入れながら満足そうでした。
ゴミはゴミ箱に!という当たり前のことができていないニカラグア。このこどもたちが、少しでもこの日のことを覚えていて、ごみはゴミ箱に!というのが当たり前になればいいなと思います。
話は、卒業式の日のことに変わりますが、当日、掲示された絵をこどもたちが嬉しそうに見ていました。友達の絵を見て何やら話している子もいました。卒業式の最後の方に、先生が保護者に、「こどもに何になってほしいですか?」と。こどもたちには、「親にどうなってほしい?」と問いかけていました。そして、思いがけなくも、先生が私の授業についての紹介をして下さいました。保護者の方がこどもたちの絵をみて、にっこり微笑み、写真を撮る人もいました。親子で会話しているのも見ました。嬉しくも、「素敵な授業をしてくれてありがとう。」と声をかけて下さる保護者の方もいました。
卒業式での絵の展示私はまだ言葉が上手に話せませんが、勇気を出して一歩踏み出した行動に反響があったことに感動と少しの自信がつきました。まだまだ課題のある学校ですが、私のできることを探して、一歩ずつ現地の人と共に歩んでいきたいです。