現地隊員レポート    「りる」第38号より

                                                    ニカラグア    A.F.
                                                             平成16年度3次隊
                                    
青少年活動                                                                


『ニカラグア便り』

 ニカラグアに来て早4ヶ月、任地に赴任して早3ヶ月が過ぎようとしています。日本でも今は夏真っ盛り、蒸し暑さにもんもんとしながら過ごしている人も多いのではないでしょうか。ここ、ニカラグアでも毎日直射日光が容赦なく照らしつけ、じりじりと地面を、そして私の地肌を確実に焦がし続けています。

 ニカラグア、と聞きどこにあるの?と思う方も多いのではないでしょうか。実際私も一年前「ニカラグア赴任」と聞き、まず初めに地図を広げアフリカを探したことは事実です。ニカラグアはコスタリカ、ホンジュラスの間の中米に位置し、西は太平洋、東はカリブ海に面した日本の3分の1ほどの小さな国です。

言語はスペイン語、食事は米とフリホーレスという日本の小豆のようなもの、トルティージャ(とうもろこしで作ったもの)をよく食べます。15年前に内戦が終了し、再建が進んでいますがまだまだ国民の半数以上が貧困層であり、中米ではハイチに次ぐ貧困国でもあります。

 私の住むグラナダ地域はスペイン統治時代の建物が残る観光地です。綺麗に整備され、おしやれなレストランやホテル、お土産やが並び、一瞬このような貧しい国にいることを忘れてしまいますが、しかしそこには物売りや靴磨きの子どもが働いており、貧困の国ということを認識させられます。貧しいといっても、人々は明るく、いつも冗談をいって笑っています。

そしてなんといっても踊り好き。音楽が流れていれば仕事中であろうが、外であろうが、自然と肩をふりふり、おしりをぷりぷり。子どもから大人、そしておじいさんおばあさんまで踊りだします。
  グラナダの町の様子


私も同僚たちに促されて踊りますが、なかなか思うようには踊れません。音楽と踊りと冗談のこの国で、ラテン時間(たとえ仕事であろうが1〜2時間遅れるのは当たり前、約束はあってないようなもの)といういい加減さにはいささか閉口することもありますが、このように陽気な人たちに囲まれて、毎日楽しく過ごしています。
  ニカラグア湖畔の村で折り紙を教えた時の子どもたち


 さて、仕事のほうですがまだまだ軌道にのらず、試行錯誤の毎日です。私は青年団活動の指導として保健所に配属されたのですが、この青年団活動がほとんど機能していない状態なので、さて、どうしたものかと思案しています。そして言葉もまだ分からないことが多く、今は現地の人の仕事内容を知り、自分のできることを探しているといった状態です。保健所といっても日本のそれとは違い、診察もかねた小さな町医者のような所です。

ニカラグアでは若年妊娠、シングルマザーが多く、19歳までに半数以上の女性が妊娠を経験しています。実際、保健所にもまだ子どもの顔をした14、5歳の女の子が大きなお腹で診察にやってきたり、小さな子どもを連れて来たりしているのは日常茶飯事です。

若年妊娠は母子の健康だけでなく、貧困にも関わる大きな問題です。またエイズなどの性病の蔓延にも繋がります。それらを予防し、よりよい人生をおくることができるよう、子どもたち自身に考えてもらえる場づくりとしての青年団活動を展開していくことが今後の課題です。

 先日、グラナダ地域の青少年のイベントがあり、そこで日本文化紹介として盆踊りと日本の歌を紹介しました。さすが踊り好きのこの国、浴衣や踊りに大変興味を示してくれ、参加者と盆踊りを一緒に踊ることができました。日本の真裏にあるこの国では、日本と中国、韓国などの違いを理解していない人が多く、道を歩いているといつも「チニータ(中国人の女の子)」と声をかけられます。

日本独自の音楽や踊り、浴衣を実際に見て少しは日本という国を理解してくれたのではないかなと思います。また、この文化紹介を行うために何人かの青少年や同僚に協力してもらいました。同じ目的を達成させることによって、お互いに理解が深まったような気がします。
  青年団活動での日本文化紹介  


 このようなことを繰り返して、自分のことを理解してもらい、また相手のことも理解できるようになるのではないかと感じています。何か私も力になれることがあるはず、と思ってやってきたボランティア活動ですが実際のところは一人では何もできません。こっちの人に助けてもらって、やっと自分のやりたいことができるのだとしみじみと感じています。まだまだ、大変なことが多いですが今後も協力して活動していければいいと思っています。