現地隊員レポート    「りる」第42号より

                                                    モンゴル   T.K.
                                                             平成18年度1次隊前期
                                    
日本語教師                                                                


『モンゴルで冬を迎えて』

 この12月でモンゴルに来て半年になります。まだまだモンゴルの文化や習慣が分かっていませんが、モンゴルの印象についてお伝えしたいと思います。

私が現在活動している所はダルハン市という首都ウランバートルから200km北へ行ったところにある、モンゴル第2の都市です。人口は7万人ですが、街は閑散としていて、静かなところです。朝はマイナス20度になり、日中もずっとマイナスです。もっと寒くなるとマイナス40度ぐらいになるそうです。

 私はオヨーニー・イレードゥイ統合学校という小学校から、中学校(高校)まである11年制学校の中学の部で日本語教師をしています。全校生徒は4000人ぐらいいて、学校は午前と午後の2部制となっています。午前中7、9、11年生、午後は6、8、10年生といった感じで授業が行われています。

午前中に学校がある生徒は朝8時から授業があるのですが、朝8時だとまだ外は暗い状態です。生徒はダルハンという土地柄もあってか、本当に素直で純真な子どもらしい生徒が多く、とても元気です。日本語は選択授業となっており、午前中に正規の授業がある生徒は午後の自由な時間に日本語を勉強しています。全くの選択授業で、本当に勉強したい人だけが来ているので、みんなとても熱心です。



 教科書は貸し出し制となっていて、教室においてあり、授業のときだけ使うことができます。ですから教科書をノートに写して使っている状態です。また試験もコピー機が中々使えないので、生徒一人一人が、白い紙を持ってきて、テストの問題用紙を見て、答えだけを紙に書いて提出して、問題用紙はまた回収して使っています。本当に物がない中で、子どもたちはがんばって勉強しています。

 12月3日に日本語能力試験があったのですが、4級を受けた人が30名、3級が20名、2級が8名ほどおり、高校生で2級を受けようというのは、なかなかのものだと思います。能力試験対策として、週に何時間か補習をしていたのですが、一つしか教室がなくて困っていたら、他の先生が物置部屋に電気を付けて、小さい教室を作ってくれました。私で5代目の隊員ということもあり、先生方もとても活動に協力的です。

また他の授業がないときはいつも自主的に日本語の教室にやって来て、教室で授業があるにもかかわらず、後ろの方で黙々と自習しています。そして夜8時頃まで、教室に残って勉強しているようで、次の日に分からなかったところをまとめて、質問しに来ます。毎日こつこつと努力する生徒の姿を見て、自分自身の活動を考えさせられ、生徒の要望に答えられるよう努力しなければならないと思いました。

 このような感じで私はモンゴルで色々な事を、自分自身が教わっているような気がします。厳しい寒さの中で養われた忍耐強さで、様々な困難に向うモンゴル人を見て、モンゴル人力士が日本で活躍しているのも分かるような気がします。これからもこの様な環境の中で、日本語を教えるだけでなく、モンゴルの良いところを見習い、活動を続けていきたいと思います。