現地隊員レポート 「りる」第63号より
ミクロネシア 大西 結加
平成26年度1次隊
小学校教育
『協力隊生活、スタート!』
皆様、初めまして。七月四日に赴任したばかりの新米隊員です。全てのことが目新しく、刺激的な毎日を送っています。今回は、私のいる「ポンペイ州」の気候・言語・配属先の様子について、こちらに来て驚いたことをお伝えします。(他に三州あり、それぞれ独自の言語・文化をもちます。)
まず気候ですが、さすが赤道に近い常夏の島、やはり暑い、暑い!朝から強い日差しが容赦なく降り注ぎます。日焼け止めも汗で流れてあまり効果がなく、ひじから先と足の甲の肌の色が、現地の人々に近づきつつあります。それだけならまだしも、湿度も高い!「レインアイランド」の異名をもつぐらい、毎日のように雨が降るのです。
にわか雨で済むこともあれば、長時間降り続くこともあります。高温多湿のため、麦わら帽子とソフトボール用グローブにさっそくカビが生えました。カビと闘う工夫が必要です。それでも朝晩は気温が下がり、日本の夏より過ごしやすく、肌寒く感じる時もあります。
次に言語です。公用語は英語ですが、全員が話せるわけではなく、主にポンペイ語を使っています。赴任後まもなく計三十時間の現地語研修を受けましたが、まだ簡単なあいさつや日常生活のちょっとしたフレーズしか話せません。ホームステイ先や配属先でもっと練習し、現地の人々と円滑に会話ができるようになりたいです。
ポンペイ語には、日本統治時代の名残で、日本語由来の言葉がたくさんあります。例えば「シドーサ(自動車)」「カイル(蛙)」「サルマタ(下着)」「ガンバレ(頑張れ)」などなど。人々の名前も、「スズキ」さん、「ケンジ」君などがいて(ファーストネームかミドルネームか分かりませんが)、親しみを感じます。
それから、配属先についてです。私は初等算数教育の向上のため、公立の「コロニア小学校」で活動します。最初は夏休み中だったため、先生方と話したり、そうじをしたりして過ごしました。初めての体験は、黒板をペンキで塗ったことです。日本の黒板とは材質が異なり、次第にチョークの発色が悪くなるので、塗り直すのです。
先生の家族が当たり前のように手伝いに来て、とてもきれいになりました。教室内の掲示も想像以上に工夫が凝らされていて、子どもたちを気持ちよく迎えようとする気持ちは日本と共通していました。
そして八月十一日、いよいよ新年度が始まりました。一〜八年生、七百人もの子どもたちで学校中がにぎわいます。しかも授業中、校庭(中庭)では保護者たちが談笑しているではないですか。子どもたちの学ぶ場であることはもちろん、大人たちの憩いの場でもあるようです。驚いたことに、敷地内や教室前に小さな店が出て、休み時間には子どもや先生が飲み物・食べ物を買っているではないですか。
休み時間、出店は子どもたちに大人気。お菓子を食べながらあちこち走り回る子どもたちが学校中にあふれ、まるで毎日がお祭りのよう。規律を重んじる日本の学校とのあまりの違いに笑ってしまいました。時刻を知らせるチャイムにも驚きました。なんと、大きな鉄のかたまりのベルを、金づちでたたくのです!ベルのそばの教室がチャイム係で、そのクラスの先生の指示で、子どもがたたきに来ます。
本日のチャイム係。はりきってたたきます!広い敷地内に十分響き渡る、ものすごい音です。このように、今は驚くことばかりですが、時間とともに適応し、先生方や子どもたちをしっかりと見つめ、活動を進めたいと思っているところです。
最後に、現在協力隊としてここにいられることを幸せに思います。小学六年生の社会の教科書で協力隊について知ってからずっと、私の夢だったからです。ここに至ったのは多くの方々の支えや応援のおかげです。
また、香川の学校の教え子たちの存在も大きいです。ここにいる間に、外国の文化について、また国際協力について、教え子たちに発信することも楽しみにしています。まだ始まったばかり、不安だらけの協力隊生活ですが、現地語で「エキスエキス(少しずつ)」歩んでいこうと思います。