現地隊員レポート             「りる」第75号より 

                                                    マラウイ   成瀬 美紀
                                                             平成29年度1次隊
                                         コミュニティ開発
   

「マラウイ共和国の紹介」

 マラウイ共和国、通称マラウイは、アフリカ大陸南東部に位置する共和制国家で、イギリス連邦加盟国である。アフリカ大地溝帯に位置する内陸国で、国土はほとんど高原上にあり、マラウイ湖が大きな面積を占める。北・北西はタンザニアと、東・南・南西はモザンビークと、西はザンビアと国境を接している。

面積:11.8万平方キロメートル(日本の約1/3)
人口:1,721万人
首都:リロングウェ
民族:バンツー系(主要民族はチェワ族、トゥンブーカ族、ンゴニ族、ヤオ族)

1 エコ炭作り
 トウモロコシの茎やピーナッツの殻などの有機ゴミから調理用の炭「ブリケット」を作っています。村で手に入る材料、道具、技術を駆使して少しずつですが森林伐採という深刻な問題に向き合っています。製造工程では火の扱いに慣れている現地の人に頼りっぱなしです。活動グループのメンバーは知的で行動力があって、いつもこちらが励まされています。

2 手つかずの自然
バイクで過ぎ去る村の風景は言葉では表せないほど美しいです。空の青と、砂の白と、植物の緑しか視界に入りません。人工物がゼロな風景は日本にどれくらいあるでしょうか。下り坂にさしかかると眼下に広がるマラウイ湖、ときには夕焼けで真っ赤に染まる空。雨期には泥にタイヤがとられ進めなくなることもありますが、すぐにどこかから村人が駆けつけてくれます。自然に左右される厳しい環境の中、人々は助け合って生きています。

3 職場の人と日本から来た家族
 同僚は、コミュニティ開発省と社会福祉省という政府機関に勤める公務員です。インターン生を常に受け入れているため学生さんと情報交換できる機会も多いです。課題山積の無数のコミュニティをわずか数名のオフィサーたちで支援しており悩みも尽きないようですが、明るく情熱を持って業務をこなしています。私の家族が日本からきたときは「歴史的な日だ!」と大喜びで迎え入れてくれました。

4 キャッサバのシマとマラウイ湖の魚
 キャッサバ粉を水で練ったコンドーレ(左上)とマラウイ湖で獲れた魚(下と右)。メイズ粉を使ったシマの方が主流ですが、私の任地はキャッサバの産地なので、よりもっちりしたコンドーレが人気です。醤油をかけるとお餅にも錯覚するもちもちさです。マラウイ湖の95%の魚が固有種でありここでしか食べられない貴重な魚だらけ。ござの上に皿を並べ、大勢でそれを囲んで座り、右手でコンドーレをちぎり、魚や野菜につけて食べます。

5 伝統的な布、チテンジ
 アフリカでは各国で呼び名は違うものの伝統的な布があり、ここではチテンジと呼ばれます。女性はスカートの上から腰に巻き付けるのが上品とされます。ただしスカートを内側にはいているのでチテンジを人前で外すのも恥ずかしいわけではなく、外で巻き直すこともよくあります。端をポケットのようにして、お金や携帯を忍ばせている人が多いです。自分のチテンジを持参すると感心されて、好感度アップは間違いなし。

6 割礼のお祭り、ジャンド
 年に一回8月の夏休み期間中に、割礼イベントがあります。割礼を受けるのは5歳前後の男女。一人前の大人として生きる心がまえなどのトレーニングを数週間受け、それが終わると村全体でにぎやかな祭りを開催します。獅子舞の音にも似た金属音が鳴り響き、それぞれの子どもの家族や親せき、村の人たちがグループを作って踊ったり歌ったりします。政府がこの風習を廃止しようとしたこともありますが、根強く文化として残っています。