現地隊員レポート 「りる」第51号より
ケニア M.F.
平成21年度1次隊
観光業
『ケニアの東海岸から(1)』
香川県青年海外協力隊を育てる会の皆さんこんにちは。ケニアに赴任してはや5ヶ月、約1ヶ月のナイロビ滞在を経て任地モンバサに着任して4ヶ月になろうとしています。出発前は盛大なる壮行会を開いて頂きありがとうございました。また着任して早々香川県の観光情報や文具等をお送り頂き、早速大切に使わせて頂いています。さて、私の任地はナイロビから南東に約490キロに位置するケニア第2の海辺の都市、モンバサです。標高1700mほどのナイロビは年中涼しい(というか7月は予想以上の寒さでした)のですが、モンバサは常夏です。このところ蒸し暑さが増し、じっとしていても汗が吹き出て寝苦しく、蚊帳の中にうちわを持ち込み扇いでいます。
配属先はケニア野生生物公社(Kenya Wildlife Service/以下KWS)といい、ケニアの国立公園/保護区を運営管理している機関です。沿岸保全地域本部事務所(Coast Conservation Area HeadQuarter)に勤務していますが、北はソマリア国境から南はタンザニア国境までの沿岸部の広い地域を管轄しています。ケニアというと野生動物や草原に沈む太陽、サファリを想像される方も多いと思いますが、東海岸には6ヶ所の海洋国立公園・保護区があります。最も近いモンバサ海洋国立公園には行く機会も多いですが、色とりどりのサンゴと熱帯魚が多く見られ、本当にきれいです。
モンバサの海。透明度も高くきれいです。東海岸沿いはヨーロッパからの避寒地の1つとなっており、リゾートホテルが立ち並び、観光客がプールサイドでのんびり過ごしたり、シュノーケリングやダイビングを楽しむ姿をよく見かけます。モンバサ海洋国立公園でのKWSの業務は主にパトロール、沿岸における密漁取り締まり、施設整備、入園チケットの管理、広報、野生生物保全活動等です。パトロールボートにも時々同乗しますが、海洋国立公園は海岸から数キロ沖合にあるため、域内に入って停泊するグラスボートやダイビングボートに横付けして人数分の入園チケットを販売するというシステムになっています。私の活動はサファリだけではないケニアの魅力をアピールしたり、観光客の来やすい環境を整備することだと考えていますが、まだまだ何ができるか模索の日々が続いています。
マリンディの海。色とりどりの熱帯魚を楽しめます。モンバサの人々は一般的に「カリブ(Welcome)の精神」にあふれていると感じます。香川県の「お接待の精神」に似ている気がします。モンバサに到着した初日に道を尋ねたら、15分程歩く距離をわざわざ私のために炎天下を案内してくれました。親切さに案内代を請求されるかと思った程ですが、それもここでは珍しいことではないと今ではわかります。周囲との挨拶を大切にし、その場にいる全員と握手を交わし、年配者を特に敬います。忙しい時に突然来客があっても暖かく迎え、お茶をふるまい会話を楽しみます。
ボートに横付けしてチケットを確認中。
先日マタツ(乗りあいマイクロバス)に乗るのに小銭が無く、あきらめて歩こうとしたら、見知らぬ若者が近付いてきて「これでマタツに乗ったらいいよ」と私に小銭を握らせてくれました。炎天下の道端でお客さんを待っている私より明らかに貧しい若者でした。「あなたの今日の稼ぎが無くなるじゃないの」と言ったら「こんな僕のことをどこかで覚えててくれたらいいよ」と言われ、驚きと共に心が洗われました。私が彼なら同じ行動ができたでしょうか。私もそんな精神を大切にしたいと思う今日此頃です。
モンバサマリンパークの看板の前で。
お伝えしたいことはたくさんありますが、書ききれないのでプログサイト(http://blogs.yahoo.co.jp/fukadamari)をご紹介します。9月に立ち上げ、日々の出来事などできるだけこまめに更新するよう心掛けていますので、良かったらのぞいてみて下さい。そして、機会が許すようなら是非ケニアにお越し下さい。「カリブの精神」でお待ちしています。