帰国報告 「りる」第43号より
ケニア Y.K.
平成16年度2次隊
コンピューター技術
16年度2次隊のコンピュータ隊員として東アフリカのケニアヘ派遣されていたKです。日本へ帰国してから早2ヶ月が経ちました。日本帰国直後は日本食の美味しさに感動し、携帯電話の機能に驚嘆し、クリスマスのイルミネーションに日本へ帰ってきたことを強く認識したものです。今は、また海外へ出発するための準備をしているところです。
のんびりと日本の生活に慣れるためのリハビリをしている時に、現在派遣中の家族の方々への連絡会での発表を頼まれ、あまり豊富な知識はないものの何がしかの参考になればと発表を引き受けることにしました。
改めて、私の活動を簡単に紹介した発表をこの記事に纏(まと)めさせていただきます。
まず、私の派遣国ケニアとは一体どのような国なのでしょうか。有名なところでは野生動物です。国内に数箇所あるナショナルパークでは、様々な野生動物を見ることが出来ます。ライオン、チーター、サイや象などは近くで見ると、とても迫力があり、動物好きの方々は、きっと感動することでしょう。
また、最近では様々なメディアでケニア先住民族であるマサイ族を見かけることが多くなりました。彼らはヤギを放牧しながら流浪する民ではありますが、首都であるナイロビでも列をなしたヤギを放し飼いしているのには、着任当初は驚きました。そしてアフリカ第二の山であるケニア山。そのケニア山に登山をして登頂成功しましたが、高山病で倒れそうになったことが思い出されます。
私はケニアの首都ナイロビでも各省庁が立ち並んでいる中心街で活動をしていました。環境だけいえば到底協力隊員とは思えないほどの場所ではないでしょうか。
私の派遣先はナショナル・コミッション・フォー・ユネスコというケニアユネスコの事務局でした。ケニアのユネスコ本部とは別にある、事業窓口のような所だと思います。要請書上は、ここの職員へITリテラシー向上のためのコンピュータ技術の授業と社内ネットワークの構築となっていますが、やはり要請内容通りにはうまく進まないもので、その職員の方々は自分の職務の忙しさから、やがて授業へと参加できなくなるという事態になりました。
授業風景
そして、やがて私の授業へ参加してきたのは、彼ら職員の知人や親戚といった面々でした。彼らのモチベーションを維持し易いように、授業方針を変える方向へ持っていくも、次第に生徒の授業への足は遠のき、生徒が全然いなくなるという事態になったことがありました。
さらに業務上必ず必要なコンピュータを空き巣に盗まれるという不幸が続きました。また、社内LANの構築を行うも、基本技術を把握していない社員は、それを維持することも出来ないため、技術の移転がうまく進みませんでした。このように、活動初年度は、これからの活動についてとても悩んだ事もありました。
2年目からは活動が円滑に進むようになり、少しずつではありますが、生徒にコンピュータを教え続ける事が出来るようにはなりましたが、今でも、もっと別の方法があったのではないだろうかという念が残っています。
修了証書(サティフィケート)授与の一場面
2年間ケニアで活動を行ってきて、今思うことと言えば、
@野生動物は凄い!!ということです。ケニアの観光収入の大部分を占める『サファリ』では多くの野生動物を問近で見ることが出来るのです。
A昆虫は気持ち悪い!!ということです。日本では滅多にお目にかか
れない奇妙な形をした昆虫を、私の友人は水瓶に飼っていました。その水瓶の水を躊躇(ちゅうちょ)することなく飲んでしまう友人はもっと凄いのでしょう。
B交通マナーが悪い!!ということです。公共交通機関である『マタトゥ』では、車内でのスリに気をつけないといけませんが、走っている車に一番注意しないといけません。歩行者優先の日本では信じられないことですが、青信号で安心して歩いていると、車に轢(ひ)かれてしまいます。といっても、信号自体、滅多にお目にかかれませんが。
C同僚の困ったところは、時々ですが、日本人の私からみれば、仕事をしない、ウソをつく、約束を守らない、と挙げたらきりがありませんが、これは各国の協力隊員も感じていることなのでしょう。ですが、とてもやさしくて、愛矯があり、歌と踊りが大好きで、私が落ち込んでいる時にコーラを奢(おご)ってくれる、そんな彼らが私は大好きです。
このような体験は人生でも稀(まれ)なことです。これから隊員として途上国へ派遣される方、されている方には、悔いが残らないように活動と息抜きをして下さい。
JICA四国、協力隊を育てる会の皆様には活動中大変お世話になりました。ここでお礼をさせて頂きます。今後も多くの協力隊員達に香川の風を吹かせていただきますよう。
アサンテ・サーナ!!