現地隊員レポート             「りる」第64号より 

                                                    ヨルダン     森 佑一
                                                             平成26年度3次隊
                                         環境教育
   

『技術補完研修〜派遣前訓練〜ヨルダン赴任』

 ヨルダンは大学時代にピースボート(世界一周の船旅)で訪れ、難民キャンプにホームステイしたこともあり思い入れがあり、・・・機会があればもう一度訪れたいと思っていた国です。そして今回2回目にして青年海外協力隊に合格し、第一志望にしていたヨルダンへの派遣が決りました。また活動する職種は環境教育です。かつて大学で環境政策を専攻していたこともあり自分の知識を活かせるのではないかと思いこの職種を選びました。現地では教育局に配属され小学校を巡回して先生とともに環境啓発活動を行う予定です。

 合格後は日本国内において環境教育の技術補完研修を約2週間、環境教育隊員候補生18名と共に受け、その後福島県にある訓練所で約70日間の派遣前訓練を140名余りの協力隊候補生とともに受けました。訓練所では全国から集まった多くの候補生と寝食を共にし、それぞれが派遣される国の言葉(ヨルダンはアラビア語)を学び、またJICA事業についてや安全・健康管理についてなど必要な知識・技術を学びました。

全国各地から集まった様々な経験や背景を持つ候補生との生活はとても刺激的で学ぶことが多く本当に充実した訓練生活を送ることができました。そして全国に同じ志を持った友人が数多くできたことは自身の人生において財産です。そして訓練所での語学試験に合格して無事退所。晴れて青年海外協力隊になることができました。

 そして2015年1月6日。青年海外協力隊26年度3次隊としてその他6名と共に無事ヨルダンに赴任することができました。大学時代に訪れてから約7年越しにやってきたヨルダン。赴任後は各種オリエンテーションや語学訓練で約一ヶ月間、ヨルダンの首都アンマンにあるドミトリーで共同生活をし生活に慣らしていきます。しかしながら、赴任した次の日には積雪があり交通や経済活動が麻痺し、いきなり予定が変更されほとんど何もできない日々が続きました。

 それから数日後には天候も回復しようやく語学訓練が開始されました。福島県の訓練所で学んだのはアラビア語の標準語(フスハー)ですがそれとは違って、ここヨルダンでは現地の入々が使う方言(アンミーヤ)があり、語学学校ではそのアンミーヤを学びます。現地の語学学校で2クラスに分かれて少入数制で朝から昼までの約4時間学びます。

アラビア語は発音が非常に難しく微妙な発音の違いで意味やニュアンスが違ってしまうのでかなり苦戦しています。それでも学んだことを実際に買い物や交通機関を利用するときなど生活の中で使用して通じたときはうれしく、それをモチベーションにがんばっています。

また現在ヨルダンには青年海外協力隊とシニア海外ボランティア合わせて約50名います。もうすぐ2年の任期を終え帰国する隊次の方から数ヶ月前に赴任したばかりの隊次の方までいるのですが誰もが生き生きと楽しく活動していて頼もしく、ヨルダンという国が大好きな方々ばかりです。自分たちもこの2年を先輩方と同じように楽しく充実したものにし、自身の職種である環境教育でヨルダンの人々に少しでも何か役に立つことができればと思います。またこの2年間で自分自身もアラブやイスラムの社会や文化を学び、アラビア語力をさらに向上させ、今後のキャリアに生かしていきたいとも考えています。

 現在(2015年2月5日)、まだヨルダンに赴任して一ヶ月程でまだまだ現地での生活や文化に触れて間もないですが、語学学校の行き帰りにタクシーを利用したり、近くのスーパーや市場で買い物をしたり、ダウンタウンに観光に行くなどする中で多くのアラブ人と触れ合う機会が多くありますアラブ人と関わってみると、道を尋ねた時に親切に教えてくれたり、向こうから話しかけてきて一緒に写真を撮ろうと誘ってきたりとフレンドリーな人々がとても多いと感じます。文化的にイスラム教徒が国の大半を占めるため宗教的に気をつけなければならないことも多々ありますが、異文化交流は本当に楽しいです。

 また町並みは全体的に石造りで美しく、またペトラ遺跡やワディ・ラムという砂漠など観光地も非常に多く、この2年間で是非行ってみたいと思っています。アラブ料理もヒヨコマメをペーストにしたホンモスという料理や羊肉を米を使ったマンサフという料理、肉と野菜を薄い小麦粉の生地でロールしたシュワルマというアラブのファーストフードなどおいしい食べ物ばかりで食事も楽しみの一つです。

そしてヨルダンの周辺諸国にはイスラエルやパレスチナ、シリア、イラクと紛争問題を抱えている国も多くパレスチナやシリア、イラクなどからの難民が数多く流入している国でもあり、難民問題を抱えている側面もあります。国内には多くの難民キャンプがあり、難民支援などを行う国際NGOや国連機関が拠点を置いています。

そういった意味でもヨルダンは中東において非常に重要な国であり、国際平和に欠かせない存在です。そうした文化的・社会的背景をもつ国でこれから活動していくわけですが自身の職種である環境教育のみならず紛争問題や和平に関連したことなど幅広く活動していきたいと考えています。