ジョルダン所感        「りる」第6号より

     ジョルダン         T.M.

                     平成5年1次隊

                     手工芸

 

 夏が来ました。皆様、いかがお過ごし出しょうか。ここジョルダンのアカバでは、四月半ばを境に、連日、気温が上昇し、日中で三五〜三九度ほど、日没後涼しいと感じる頃にも三十度はある、といった状態です。

 これから半年間、この暑さが続きます。熱波が到来すると、気温が体温を十度以上、上回ることもまれではありません。私は帽子を目深に被り、白い長袖を着て身を守ります。それでも、日射しの中で長時間動き回るのは危ないので、日中の外出は量小限にしています。

 暑さには二、三日で慣れるのですが乾燥にはなかなか慣れないためです。湿度0%の地で気温が四十度を超えると、のどが乾いたと感じる頃には、相当の水分を失っているのです。毎日のちょっとした買い物から帰って来て、どうも何か飲みたいな、と思うと、1リットル相当のジュースを飲みきってしまい驚きました。こちらの人は、薬草入りの甘い紅茶を飲んでいます。たくさん飲んでも気分が悪くならないのです。土地土地の生活の知恵に感心します。

 日本とあまりにも異なるこの景色を、どう説明すれば良いのでしょう。岩膚むき出しの山、少し町をはずれればもう砂漠。絶え間なく起きる大小の竜巻。土ぼこりが舞う景色はモノトーン。

   遺跡訪問、M隊員とお母さま


 中東和平は、世界政治の関心をジョルダンに向けることとなりました。しかし、ここで産まれ、生きている普通の人々のことを、私達はどれだけ知っているでしょうか。優しく、人なつこい人たち、ころころと笑って、おしゃべりで、好奇心が強いくせに、男性が姿を見せると、とたんに無表情になってしまう娘たち。この人たちのささやかな幸せが、これからも続くような方向で働きたいと思います。

  生徒の家に招かれて楽しいパーティ(着物姿がM隊員)


 NHKの取材班が、来週、アカバに来るそうです。私も、出来る限りお手伝いするつもりです。私が説明できない部分を、テレビの映像を通して、日本の皆様に見ていただきたいのです。

 毎月、送ってくださる新聞を、楽しみにしております。また、新年に送ってくださったポスター・カレンダーの類は思いの外好評で、「日本はまるで天国みたいな国ね。」と誉められました。水の豊かな美しい国というだけでなく、紙の質の良さ、印刷技術の高さ、レイアウトの美しさ、配色の良さなど、見る人は日本の技術水準の高さを理解します。

 第二次大戦で負けたにもかかわらず、国を再興し経済発展を遂げた国として、日本の評判は良いようです。幸い、教育水準も高く、政府系の学校は、高校まで、大変に安い学費で通学できるので、年々平均就学年数は伸びています。将来が楽しみです。

 最後になりましたが、育てる会の皆様に宣しくお伝え下さい。私がこのように活動出来るのも皆様の支援あってこそです。送っていただく資料が、どれほど相互理解に役立っているか、とても書きつくせません。