現地隊員レポート             「りる」第59号より 

                                                    ヨルダン   N.M.
                                                             平成22年度1次隊
                                         環境教育
    

 

『2年を振り返って』

 香川県の皆さん、こんにちは。ヨルダンに派遣され、環境教育隊員として活動している松下倫尚です。時が経つのは早いもので、6月26日を最後にヨルダンでの活動任期は満了となり、日本へ帰国します。この任期中、手探りながらもいろんなアプローチで環境教育活動を行なってきました。しかし、果たしてこれまでの活動が現場にとって有意義であったかどうか本当のところは分かりません。

ただ、全ての活動の最後に環境クラブ担当顧問から「お前がいなくなることは淋しいが、この活動は続けていく。」と約束してくれたことが嬉しくて心に残りました。クラブ担当顧問とは、情報共有やアイデアを出し合い、活動カリキュラムを策定し、意見がぶつかり合いながらも常に活動を一緒に行なってきました。

仲良し4人の生徒

リサイクルの一環とした廃布わらじ作りに始まり、水環境教育アクティビティ、森林自然保護区へ生徒を引率、廃材で楽器作り、廃タイヤ再利用プロジェクト、水質浄化ろ過タンクの設置、廃棄物講義(ごみの分解年、3R)、公害授業、電子廃棄物プロジェクト、他国と環境に関するテレビ会議など、共に実施した活動を挙げるときりがありません。ようやく起動に乗ってきたなというところで任期終了間近という現実です。

 それでも急ぎ足で無理矢理2年間の任期に活動を収めたという内容でした。もっと腰を据えて、じつくり環境教育の基盤を固めたいという思いでいっぱいですが、現場はボランティアの援助なしで、現地人が自発的に活動を行なっていくことが重要です。主役は現地の人間で、ボランティアはあくまで現地人の自立支援という形で活動を行なっており、決して現地の雇用者や労働者ではありません。

ボランティアの活動が、現地にとって着火剤となり得ることができていたら幸いです。2010年6月にヨルダンに派遣され2年。当初、不安と希望の両方を抱えてヨルダンへ来たことを今でも思い出します。私にとって海外は初めてのことでしたし、ましてやイスラム圏。英語もろくにできなければ、現地では当然アラビア語、はたから見ると無謀ながらも、自分自身、妙な自信がありました。

全てが初めてのことだったせいでしょうか。とにかく、このボランティア活動で得るものはあっても失うものは何もないと考えていたのでしょう。私はどんどん現地人の輪の中に入っていきました。また、私の祖母の口癖の「知るはその時の恥。知らぬは一生の恥。」という言葉が私の背中を後押ししてくれました。文化・生活の中で知らないことは知らない、分からないことは分からないことを正直に話し、理解しようという姿勢を絶やさないことを努めました。

学校の式典で踊りと歌を披露する学生

また、その中で楽しいことは互いに共有し合うことで人間関係・信頼関係をしっかり構築していったことが本来の活動にもつながったのだと思います。私のボランティア活動は終了してしまいますが、ヨルダンには親しい友人がたくさんいます。今後も彼らとのつながりを大切にし、また必ずヨルダンを訪れたいと思います。