現地隊員レポート 「りる」第57号より
ヨルダン N.M.
平成22年度1次隊
環境教育
『香川県の皆さん、こんにちは』
香川県の皆さん、こんにちは。現在、ヨルダンに派遣中の環境教育隊員の松下倫尚です。ヨルダンに派遣されて、もう1年半が経ちます。派遣先は、ヨルダンのバルカ県にあるアインアルバーシャ地区の教育省の支局で、文化活動課が私の配属先です。主に、支局が管轄するアインアルバーシャ地区の学校を巡回し、その各学校に存在している環境クラブの活動を活発化させることが私の要請内容になっており、日々活動に励んでおります。
さて、今回はヨルダン国の人種について触れたいと思います。前回の現地レポートでも少し触れましたが、純粋なヨルダン人というのはヨルダン国に少なく、ヨルダン国に住む人口の七割はパレスチナ人です。エジプト人労働者も多く、夏には、サウジアラビアなどの近隣諸国から避暑のために大勢のアラブ人がヨルダンを訪れます。ちなみにヨルダン国王であるキング・アブドッラー二世はサウジアラビア出身で、奥さんのラニア王妃はクウエート出身です。
岩山砂漠(ワディラム)パレスチナ人である私の友人は、自動車整備のエンジニアで、毎年一度は日本に仕事で訪れるというビジネス志向のジェントルマンで、いつかは自分で会社を起ち上げるのが夢です。片やヨルダン人である私の友人は、公務員で重役ポストに就いてはいるも、自分の土地を耕し野菜を育てるというスローライフでただ家族や友入とまったり平和に暮らしたいというのが夢です。
パレスチナ人がなぜここまでビジネス志向なのかというのには理由があり、ヨルダン国では重要な役職というのは生粋のヨルダン人が就くことが前提となっています。昔ながらの力を持った一族というのが南部に集中しており、重役ポストのほとんどが南部出身者となっており、パレスチナ人にはなかなかチャンスがありません。
しかし、ヨルダン人からすればパレスチナ人が少し厄介と感じている部分があるようで、彼らは頭が良いし、流入者が多く、おかげで物価も上がるし、就職率にも影響が出る、昔よりもヨルダンは住みにくくなってしまっている。
さらに、これでアメリカの援助がなくなってしまったら、生活はもっと苦しくなってしまうんじゃないかと不安になっています。
文化活動交流(Sakib Project)現在、中東地域は大きく揺れています。節目を迎えていることは間違いないでしょう。あれだけ安全と言われ続けたヨルダン国でさえ、去年と今とでは全く国内の雰囲気が違います。私はイスラム教徒ではないので、いったいこの先、このアラブ世界がどのように変わっていくのか明確には分かりませんが、ただただアッサラーム・アレイコム(あなた方に平和を)と祈るしかありません。
環境クラブの講義風景