現地隊員レポート             「りる」第68号より 

                                                    インド     太田 詩織
                                                             平成26年度2次隊
                                         日本語教育
   

『言語ではなく文化を』

 今回は私の活動について少しお話をさせていただきます。私の任地はインドの首都デリー南西部に位置する低所得層向けの小中学校です。活動内容としては、幼稚園生から10年生(日本でいう高校1年生)までの生徒に日本語を教えるというものです。

理事長が日本へ行ったことのある親日学校で、英語もままならない小さい生徒から日本語で自己紹介をできます。学校内では、左側を歩く、掃除当番が掃除をする、など日本ならではの風習も取り入れられています(これはインドではとても珍しいことです)。
 授業風景

 私が活動の中で力を入れていることは、主に3つあります。

 1つは、日本語での歌や踊りの指導です。私の学校はイベントが大好きで、歌や踊りを披露する場がたくさんあります。したがって、1週間に1回のペースで新しい歌や踊りを教えています。発表する場がたくさんあるので、生徒もやりがいを持って取り組んでおり、成功した時には、私も一緒になって喜んでいます。

もともとインドでは、「ドラえもん」や「忍者ハットリくん」、「クレヨンしんちゃん」など日本でお馴染みの番組が現地語で訳され、放送されているため、これらの歌や踊りを教えるとみんなとても楽しんでくれ。歌や踊りが大好きなインド人ですから、自ら振り付けを考えてくる生徒もいて、とても助かっています。
 まるまるもりもり

 2つ目は、日本文化紹介です。日頃から折り紙や書道、浴衣の着付け体験、お箸の使い方など、日本文化を体験できる内容を取り入れています。映像で日本文化を紹介することもあります。その一環として劇も教えています。

これもまた、イベントの際に行うためであり、主に低学年に向けて行っています。「うらしまたろう」や「ももたろう」などの昔話を日本語だけでなく、英語やヒンディー語で披露しています。これは日本の風習や文化を理解するために、とてもいい方法であると実感しています。
 ピアノの練習

 先日、ある日本文化紹介イベントで7、8年生向けにうどん作りを教えることができました。味はインド人の口に合わなかったようでしたが、作る過程がとても楽しかったようで、またやりたいという声もたくさんいただきました。私自身、香川県民として一番したかったことを達成でき、満足感を得ることができました。
 うどん作り

 3つ目は、日本の学校や日本人との交流です。これまでに、手紙交換やスカイプでの交流、成果物の交換(インドの文化について調べたものと日本の文化について調べたものの交換)などを行いました。学んだ日本語を使って実際に話す機会というのはなかなかないため、これらの経験により、生徒たちの学習意欲の向上にもつながっています。

時々、日本人の方が学校を訪問してくれた際には、知っている日本語で質問攻めにします。生徒たちは私以外の日本人に会う機会がないため、自分の日本語が通じた時に嬉しそうに報告に来てくれる姿がとても微笑ましいです。
 日本との手紙交換

 インドの子どもたちは元気いっぱいなため、困らせられることは多々ありますが、生徒たちと過ごす時間はとても楽しく、日本人である私が彼らのためにどのようなことを残してあげられるのか、というスタンスで日々活動しています。残り約半年、”私にできるこ
と”、”私にしかできないこと”を探求しながら活動を続けていきたいと思います。
 生徒と一緒に