ゴーリーセカンダリーテクニカルスクール「りる」第21号より

                                                    ガーナ    S.I.
                                                             平成10年度2次隊
                                     理数科教師

                                                                

 私はガーナのゴーリーセカンダリーテクニカルスクールという高校で理数科教師として活動中です。2月よりガーナに来ましたが、半年ほどたち、ガーナにも、学校にも慣れてきました。少し、何かをする余裕もでてきたので、今回、赴任先の学校の様子を報告してみたいと思います。

1.ゴーリーってどこ?

 首都のアクラから800kmほど北に行ったアッパー・イースト州にコーリーはあります。隣国のブルキナ・ファソという国まで、あと約30kmという所です。小さな村で村の中心といえるのは、学校周辺です。ここに教会やキオスク(ちょっとした雑貨屋:豆や米、ビスケット、ボールペン、缶詰など売っている)が数軒あります。野菜やその他食料品、日用品は近くの町まで買いに出掛けます。

ローリー(バス)があるのですが、これが曲者で、時刻表などあるはずもなく、客で満員になったら出発します。この前などは、たかだか10数km離れた町に行くのに3時間半かかってしまいました。待ち時間3時間、乗っていた時間30分といったところでしょうか。しかし、「これもまたアフリカ」と思えばボォーと待つことができます。

 南部のアクラ周辺は緑豊かな地域ですが、北部地方は、サバンナの風景です。アフリカを象徴する木、バオバブが点在していて、また、ローカルハウスも点在しているといった感じです。
  6月に行われたカルチャーデーでの1コマ

2.ゴーリーセカンダリーテクニカルスクール

 農業科、技術科、家政科の3コースがあり、生徒数約220名、教師16名の小中規模校です。日本の工業高校と農業高校をまぜた感じでしょうか。田舎の学校のせいか、素直で人なつっこい生徒が多く、しかし反面、アフリカンタイムにさらに輪をかけたようなのんびりしすぎる面もあります。

 1991年に設立された新設校で、図書室、理科実験室も備えています。JOCVの他、イギリスのボランティア団体であるVSOからも、英語と理数科の教師が派遣されており、現在、VSOが理科を、私が数学を教えています。

学校行事が以外に充実していて、3月にはSports weekだといって、サッカーや陸上(100m走にはじまり、200m走やリレー、円盤投げ砲石投げなんかもありました。)が一週間かけてあり、5月には、バレーボール大会、6月にはカルチャーデー(この地域の伝統的なダンスやドラムなどのパフォーマンスを競う)やサイエンスと数学のクイズ大会がありました。他に不定期に外部の人を呼んでレクチャーがあったりと色々です。
  ゴーリーセカンダリーテクニカルスクールのメイン校舎

3.生徒のいろいろ

 学校には、制服があって女の子はブルーのワンピース、男の子はブルーのシャツと茶色の半ズボンと決められています。この組み合わせは、とてもよく似合っています。

 ガーナの学校の朝は早く、6:30より朝の清掃が始まり、7一30から朝礼、7:40に授業開始、2:20より帰りの会というべきものがあって、解散します。これは農業科1年の時間割の1コマは40分ですが、続きの授業になっていることが多く、毎時間ごとに休み時間はなく、朝と午後に20分間あるのみです。このとき、軽く食事をとったり、おやつを食べているようです。しかし、何も食べない生徒も多く、午後の授業はお腹をすかせた生徒や疲れ、寝たさのため授業に集中させるのが難しいです。(こっちもイライラ、生徒もイライラ)

4.学校の諸問題

 今、学校が抱えている問題は2つあります。お金がないこと、教師が集まらないことです。

 先学期は、期末テスト用の紙が不足したため、テスト問題を黒板に書いて、それを生徒が、自分のノートを破った紙に写して解くといったことが行われました。小テストを行うときも、学校には充分な紙がないため、生徒がノートを破るなりして紙を用意します。

 生徒の方もまたお金がありません。北部地方はこれといった産業もなく、たいがいの生徒は農家の子供ですが、土地も肥沃でないため、作物は十分獲れません。休み中は学費を用意するために、都市部へ働きにあるいは、農作業の手伝いに行く生徒もいます。他にも、技術系の高校なので、実習など重要だと思うのですが、学校にはお金がない、生徒もまたないということで、なかなか行われていません。

 へき地の学校では、教師を確保するのが難しく、先学期までいた先生がいなくなったと思えば、急に新しい先生が赴任してきたり、後任の先生が来なかったりとなかなか定着しません。交通も不便、生活も不便、娯楽施設もないという所には、教師も赴任したがらないというのが現状です。理数科の教師を確保するのはさらに大変なようです。

 そこで、私たちのようなボランティアが登場ということになります。周辺の学校にも外国人ボランティアが配置されているところが多くあります。

 このような現状に政府も、補助金を出したり、教職員用の住居を建てたりと対策をたてているようですが、そう急激に改善されるはずもなく、難しい問題を抱えています。

5.終わりに

 ガーナは日本より学歴社会です。高校を卒業しても職があるとは限らず、さらに大学、職業大学、専門学校を出て資格を得て、はじめて、地位や高いサラリーを得ることができます。日本よりも学歴に対する線引きが大きいように感じます。

 が、今、生徒たちは制服を着て、学校に来て勉強する機会があること友だちとおしゃべりをすること、行事に参加することなどを楽しんでいるように思います。色々問題はありますが、生徒たちに暗さは感じられません。何かとりとめもなく堅い話ばかり書いてしまいましたが、次回は面白いエピソードなど報告してみたいと思います。
  ゴーリー近くの岩山より