1冊の本から広がる、子供たちの可能性
1982年に活動をはじめた当時、ラオスの首都ヴィエンチャンには国立図書館と国営書店が1件あるだけで、子供のための本などありませんでした。地方へ行けば、村の学校とお寺の外に文字は存在しないという生活でした。
こうした状況は現在でもほとんど変わらず、ラオスの子供たちには、日ごろ本に親しむ機会がありません。学校を卒業したとたんに文字との縁が切れて、何年語るとせっかく覚えた文字を忘れてしまうこともあります。
「文字が読み書きできなくたって、本がなくたって、暮らしには困らないのでは?」果たしてそうでしょうか。
私が会ったある若い女性は、縫製の職業訓練を受けていましたが、教わったことをノートに書き留めることができませんでした。小学校で習った読み書きを忘れてしまっていたのです。
経済的に自立するために新しい知識や技術を修得したいと思っても、現代社会では、文字が読み書きできないと、そのチャンスは非常に限られてしまいます。
私たちはラオス語による本の出版を応援し、それによって子供たちが自らの世界を広げ、また、自らを豊かに表現する能力を高めることによって、人生を主体的に選択していく力を身につけてほしいと願っています。