現地隊員レポート             「りる」第82号より 

                                                    コスタリカ   細川 ひかり
                                                             平成30年度(2018)4次隊
                                         環境教育
   

コスタリカでの活動と帰国後の活動

 コロナによる帰国から10ヶ月。任期である4月が近づいてきました。今回はコスタリカでの活動と日本国内での活動について記したので、読んでいただけると幸いです。

1.任地について
私は環境教育隊員としてゴルフィート市役所の環境課に所属しています。ゴルフィートは首都からバスで7時間、パナマ国境まで90分というコスタリカの最南部に位置する街です。雄大な自然が残り、コスタリカ最大の面積を誇る国立公園も有しています。太平洋に面し、船を使って活動先に向かうこともありました。
豊かな自然に生息するナマケモノ

任地に限らずコスタリカ全体で言えることですが、人々は雄大な自然を自国の大切な資源だと認識しており、動植物の多様性を守っていこうという環境意識の高い国です。しかし、ごみの不法投棄や最終処分場の管理が大きな課題となっています。

2.活動について
近隣には政府に認められた最終処分場がないため、7時間半かけて首都近郊まで運ばれているゴルフィートのごみ。管理費と輸送費が市の財政を圧迫しています。その中でも有機廃棄物の処理に注目し、コンポスト(生ごみを土と混ぜて菌の力で堆肥化する装置)を取り入れて近郊で処理できる仕組みを作る活動をしていました。
同僚とコンポスト試作中

 私の主な活動は、3つ。
家庭用コンポストの普及と学校での中規模コンポストの運用、そして地域のコンポストセンターの計画です。

最初は人脈もなく、なかなか活動の意義や日本から来た理由を理解してもらうことができませんでしたが、資料を持って足を運ぶことで徐々に信頼を得ることができました。苦手なダンスのサークルにも参加し、顔を広げました。

地道な活動も功を奏して、市内のさまざまなコミュニティに出向いて、ダンボールコンポストのワークショップを開催し、コンポストのための菌を配ることができました。
家庭用コンポストブース

 また、活動後半には地元の企業とコラボレーションした企画も打ち出すことができたので、良かったなと思います。近所の高校では大きめのコンポスト施設を作らせてもらい、生徒たちと一緒に運営しました。普段の授業や課外活動もある中、みんな興味を持って手伝ってくれました。

 任地に限らずですが、本当に優しくて明るい方が多い国でした。コンポストセンターの計画は、道半ばの帰国となり悔しい想いもありますが、カウンターパートや未来の協力隊員が引き継いでくれることを願っています。

 コンポストを軸とした活動のほかに、学校や大学での環境教育活動や街中でのごみ拾い活動、リサイクル・フェアの手伝いもしていました。
高校生とコンポスト作り

リサイクル・フェアは私が赴任する前から行われていたもので、住民のみなさんにリサイクルごみを持ってきてもらい、その種類や重さに応じてポイントを付与、ポイントを野菜や果物と交換してもらう活動です。

毎回3000s程度のごみが集まるので、よい面もありつつ、やはり少しずつその量を減らしていく方法を考えないといけないねと同僚たちと話していました。日本も徐々に持続可能性を意識したライフスタイルに変化してきていますが、同様にごみを出さないようにすることを意識する重要性を感じています。
カウンターパートと

3.帰国後の活動について
昨年の夏頃にはコスタリカに戻れるだろうという安易な考えで帰国しましたが、状況はご存知の通りです。帰国後はスペイン語などの勉強をしつつ、環境問題や社会課題に関する活動を行ってきました。

 1つ目が、環境教育プロジェクトへの参画です。岐阜県大垣市で廃棄物回収を行っている会社の新プロジェクトで、映像を使って環境問題に気軽に触れてもらえる施設のオープンに向け、ターゲットの策定から動画内容の設計などに関わらせていただいています。
リサイクル・フェアにて

2つ目が社会起業家を応援するメディアでの取材活動です。環境問題だけでなく、地方創生や子どもの教育格差に挑む社会起業家にインタビューし、記事を書いています。協力隊活動中は、自分が現場で動いていたいと思っていましたが、今では中間支援も大切な役割だなと感じています。
分別用ゴミ箱

4.最後に
突然の帰国となり、2年間活動しきれなかったことに対する悔しさもありますが、さまざまなご縁もあり、日本でもいろいろな活動に関わらせていただくことができました。協力隊員として活動した2年間の学びを、社会へ還元していけたらなと思っています。

最後になりますが、日頃から協力隊をご支援いただいている皆様、本当にありがとうございます。任国での活動中も帰国後も皆様からのお声掛けや活動報告が励みとなりました。今後ともよろしくお願いいたします。
(2021・1・30)